■■『「犬の同伴制限」についての実態調査』中間報告■■




昨年7月から調査を開始した『「犬の同伴制限」についての実態調査』も、早いものでほぼ1年が経過しました。
まだまだ調査は継続しますが、開始以来1年間の調査活動についてまとめてみました。

1、調査対象地域と回答状況

下表の12箇所、14機関でした。
なお、看板の具体的な設置場所、設置者名、記載写真や文言、各機関との折衝等についてはトップページの『「イヌキン看板画像」データファイル』をご覧ください。
回答なしの3地域・4機関には数回にわたって調査目的の再説明と回答のお願いをしましたが、回答をいただけませんでした。
長野県・木曽御岳山の御岳ロープウェイの看板については、ロープウェイ事故により現在運休中であり、また地元自治体の三岳村が町村合併協議中であるため、調査票の送付を保留しています。

■北海道・東北エリア
看板設置場所 看板設置者または調査票送付先 調査結果
岩手県・栗駒山 岩手県環境生活部自然保護課 回答なし
一関市商業観光課 回答あり
福島県・浄土平 環境省自然環境局北関東地区自然保護事務所 回答あり
裏磐梯五色沼 北塩原村 回答なし
裏磐梯観光協会 回答なし
磐梯山
八方台駐車場
北塩原村 回答なし
猪苗代観光協会 回答なし
■関東エリア
看板設置場所 看板設置者または調査票送付先 調査結果
栃木県・奥日光 財団法人自然公園財団 日光支部 回答あり
東京都・高尾山 東京都環境局自然環境部 回答あり
神奈川県・丹沢 神奈川県自然環境保全センター  回答あり
■中部エリア
看板設置場所 看板設置者または調査票送付先 調査結果
長野県
八ヶ岳 白駒池
中部森林管理局 回答あり
長野県
八ヶ岳 蓼科山
中部森林管理局 回答あり
長野県・車山 諏訪市生涯学習課 回答あり
長野県・飯綱山 長野県生活環境部 回答あり
長野県・木曽御岳山 長野県三岳村 調査票
未送付
愛知県
本宮山闇苅渓谷
中部森林管理局名古屋分局 回答あり

2、回答後の対応


各機関からいただいた回答は内容を事務局で検討し、制限の根拠や理由が不明、あるいは制限の文言が不適当と判断した場合は、善処をしていただくよう、お願いと提案をしました。O−DOGからのお願いや提案に対する管理機関の反応は下表のとおりです。
当該看板を撤去していただいたのは1ヶ所のみでした。
その他の地域については残念ながらすべて無回答あるいは対応の意思の確認ができませんでした。
愛知県・本宮山闇苅渓谷については、調査対象機関の中部森林管理局名古屋分局が中部森林管理局の機構改革で消滅してしまったため、お願い送付後の対応を保留しています。

当該看板の撤去 長野県・飯綱山 1ヶ所
文言の一部修正を約束 東京都・高尾山(ただし約束の履行状況については未確認) 1ヶ所
O−DOGのお願いや提案に無回答または対応の意思なし 福島県・浄土平/栃木県・奥日光/東京都・高尾山/神奈川県・丹沢/長野県・八ヶ岳 白駒池・蓼科山/長野県・車山/愛知県・本宮山闇苅渓谷 8ヶ所
7機関

3、犬同伴制限の理由

看板に記載されている「犬同伴制限」の理由は下表のとおりです。
同伴制限の理由は各地域、各管理者によって異なり、漠然とした自然環境や動植物への影響といった共通項以上の、共通した具体的理由は見出せませんでした。
管理機関とのやりとりの結果、自然環境への影響を看板で謳いながら、実態は他の観光客等からの苦情に対応して犬の同伴を制限した例が複数判明しました。(福島県・浄土平、栃木県・奥日光、東京都・高尾山、愛知県・本宮山闇苅渓谷)

自然環境への影響 自然環境の維持を図るため 岩手県・栗駒山
生態系への悪影響 長野県
八ヶ岳 白駒池
ペットを持ち込むことで、生きもの同士のつながりが壊れてしまう 東京都・高尾山
病原菌など自然生物への悪影響 福島県・磐梯山
ペットの病気が森の生きものにうつってしまう 東京都・高尾山
ペットから野生動物に病気が移ったり、逆にペットが病気を持ち帰る 神奈川県・丹沢
野生動物の病気がうつることがあります。またその逆もあります 長野県・蓼科山
野生動物・野鳥等に雑菌感染等で生態系を崩している 長野県・飯綱山
野生動物が驚いて逃げます 長野県・蓼科山
ペットの糞尿等で動植物等に影響を与えます 長野県・蓼科山
ペットが立ち入り禁止区域内に入って踏み荒らしをしたり、植物を傷つけている 長野県・車山
理由不明 その筋のご指示により 長野県
木曽御嶽山
ペットを持ち込まないでください 栃木県・奥日光

4、犬同伴制限の根拠

上記同伴制限の原因となった自然環境への影響に関する具体的なデータ等については、各機関とも保持・把握していず、これに関する回答は皆無でした。
今後具体的・客観的なデータ把握に基づいて同伴制限の継続・見直しを予定していると意思表示をされた管理機関は皆無でした。
他の利用者からの苦情を同伴制限の理由に挙げた例でも、苦情の具体的なデータを保持・把握している管理機関はなく、これに対するO−DOGの再問合せに対する回答は皆無でした。
同伴制限に関する根拠法令の提示も皆無でした。

5、『犬の同伴制限』に関する会員の意見

『「犬の同伴制限」についての実態調査』に関して会員から以下のような意見が寄せられています。(04年7月まで)

■意見1

きちんとした調査を行っている機関はひとつもなかったのですね。
それなのに、どうしてこんなに自信をもって禁止にできるのかなぁと不思議です。

このような行政の対応、反応を見ていると、いつも浮かんでくる疑問があります。

町の中の道、通路には、「ペットご遠慮下さい」っていう看板はふつう立っていませんね。
大きなマンションや団地の敷地内通路で見かけることがあります。
それができるのは、そこが私有地だからです。

私有地ではない一般の通路や道路に、この登山道でのケースと同じように、行政が理由を明示しないまま、あるいは事実に基づかない理由を根拠に
「ペットご遠慮下さい」
という看板を立てたら・・・?
問題になりますよね。
登山道というのは公共の通路という認識を持たれていないものなのでしょうか。

それとも、もし仮に
「登山道の通行は生活上必要とは認められない行為だから、たいした根拠がなくとも制限してもよい」
というふうに考えているのだとしたら、行政って、
「犬っていうのは、庭先でつないで、朝夕散歩させて飼うもんだ」
って程度の認識からあまり先に進んでいないのだということになりますよね。
愕然とします。
世界的に見ても、かなり後進的な認識と言えるのではないでしょうか。

(Mさん)
■意見2
以前、スタッフの議論の中で「環境負荷を理由に犬連れが禁止されるなら、一般登山者も禁止しなくては意味がない」との議論がありました。

それ以来、ずっと考えていたのですが、「我々犬連れ登山者も、一般登山者の一部。いや、一般登山者より、より先進的であるべきではないか。」という観点でした。
登山道を外れる犬もいけないが、犬連れニンゲンも外れちゃ駄目、という事です。

犬連れが非難されるケースに、「今まで山に登った事もない、山のルールやマナーも知らない、いわゆる『知識のない』人たちが大勢押しかけ、山をメチャクチャにしている。」という指摘があると思います。
O−DOGでも、犬連れアウトドアの一部としてのヤマノボリという観点からだけではなく、登山とは何か、入山の際に考えるべきものは何か、という観点にハイライトを当てて情報発信していく事も必要だと感じるのです。
(Rgさん)
■意見3
O−DOGに入会を希望された方は、それなりに意識をお持ちの方だと思います。
「O−DOGに入会してアウトドアを楽しむ仲間を増やしたい」
「楽しむ為の情報を入手したい」

入手できる情報は楽しいFANなものばかりでなく、「楽しむ為には果たすべき責務もありますよ」と、一登山者としての責務を訴えていくことは必要だと以前から考えておりました。
(Tさん)
■意見4
犬連れを仮に全面禁止にしても、自然は壊れていく一方と考えます。
何故かって、山でもキャンプでも、流行で行っている方々が増え、オーバーユースが最大の問題と考えるからです。
(Kさん)
■意見5
管理機関はO-DOGの問い合せについて文書で回答するわけですからお互いの実体がないところでやりとりしているような感じを受けます。管理機関に直接訪問し、質疑応答ができる機会を考えれないでしょうか。
(Rnさん)
■意見6
 
私のまわりには 犬禁派もいます、ただしwanが原因で山が荒廃していると考えてはいません、(登山者に迷惑をかけている犬連登山者がいる以上犬禁派はいなくなりませんが) 面と向かって 説明をし 自分の感じ方と違っていてもおたがいに意見の正しい部分には 賛同できる下地があればこそ 理解が得られると思います。

 行政に 正しい意見を(立場が違って)賛同できる下地がなく、門前払いの扱いをうけているように思えます。
 また、観光協会は行政ではなく 多分その町の商工会の一部ですから、利益が一致しなければ応えてはくれないと思います
 所轄の担当の係官に直接電話で話しをして 犬禁看板によって他の登山者からとんでもない暴言をあびせられている実情を知っていただき正しく山に登るルールを指導する方向に変えていただけないか・・・と。
(Sさん)
■意見7
排泄問題については人も犬も一緒です。
私も山へ行く時は必ず最後のトイレの情報は入れます。
そして、ある程度コントロールもします。
犬連れは近場の低山ばかりなので、今は犬はしていません。
登山道から外れない事だけ気をつけており、んチは持ち帰ります。
(Nさん)

■意見8

個別の結果を見ると、現在行政の行っている制限は「事実に基づいていない」という疑いを持っていたが、そのことがあらわになっている、と感じました。

行政のイヌキンの論理を、仮に、人間だけのケースにあてはめて考えてみると
「カメラを持っている人の中には、高山植物の撮影のために、お花畑に踏み込む人がいる。故に、カメラは有害である。登山道にはカメラの持参を自粛していただきたい」
と言っているようなものなのでは。

そして、その論理を補強するために、たとえば
「カメラのシャッター音が野生動物を脅かす可能性がある」
とか
「狭い登山道でカメラを怖がるひとがいると危険だ」
「カメラから出る電磁波が生態系に影響を与える可能性がある」
などと言ってみる。

根拠となる事実もなく「論理的に考えて害があることが明白な行為それ自体」というラインを超えての制限を行うことは、やはり行き過ぎだし、行政がやっていはいけないことだと考えます。

(Npさん)

2004年7月22日
日本アウトドア犬協会(O−DOG)